今週末に原稿締切りが迫る今日12月4日は、紛争と干ばつに苦しむ遥かアフガニスタンの地で、医療支援、灌漑事業に身を投じた中村哲さんが、4年前、理不尽な凶弾に倒れた命日になります。また、今日から12月10日の世界人権デーまで、人権啓発を強化する人権週間となります。
人懐っこい優しさと不退転の決意が同居した中村さんの黒光りした相好は、自己の利益、喜びよりも他人の利益、喜びを優先する高邁な『利他の心』を教示するものでした。異国の地で放たれた〝一隅を照らす″強く温かい光が現地の人々の生活と命を救いました。
利他の心を判断基準とする行為は、心を磨き高めることへと導きます。生徒たちには折に触れ、「自分だけ楽しいのではなく、みんなが楽しいように考え行動しなさい」と話しています。また、生徒たちは主体的な『人権尊重』の自覚と行動のために、普段から「白鷗中の生徒は人の嫌がることは絶対にしません」という標語を掲げ相手を思いやる心構えを共有しています。
そして、話は変わりますが、卒業生が残してくれた卒業制作の衝立に「万里一空」の題字が刻まれています。今秋、前人未到の八冠を達成し内閣総理大臣顕彰を受けた藤井聡太九段は、返礼品の将棋盤の箱の蓋の裏側に「雲外蒼天」と揮毫しました。二つの言葉は『目標に向かって努力し続ければその先に素晴らしい世界が待っています』という意です。生徒のみなさん。普段が全て。今日を大切に。
<校報誌 栃の葉 第60号(2024.2)>